腰痛: 仕事で行う作業や姿勢などとも密接に関係しています。

※発症の多い業種: タクシー、トラック、バスなどの運転手、保育士、電気作業員、清掃業労働者、運送・倉庫荷捌き作業員、港湾での荷揚げ労働者など

整形外科医が、年若い腰痛患者さんに対して「レントゲン写真の異常がないから何でもありません」と言い、変形がレントゲン上の変化が現れている中高年には「年齢だから仕方ありません」と説明するのをよく聞きます。確かに40歳代くらいで腰痛を繰り返している人のレントゲンやMRIにはこうした変化が多く見られるのも事実です。しかし画像所見で確認される以前から原因となる前述のような微小外傷が繰り返されてきた可能性も考えられます。筋疲労性と思われがちな若い腰痛患者さんでも同様の経過をたどっている人が多くおられる可能性があります。

あなたの腰痛は、いつ、何がきっかけで起こりましたか?

どのような姿勢、何をしているときに痛くなりましたか?

腰のどこが痛みますか?

腰は、「腰椎」と呼ばれる5つの骨がブロックのように積み上げられ構成されています。腰椎と腰椎の間にはクッションの働きをする椎間板と後方左右に椎間関節があり、これらの関節は体重や手荷物の重さを支えます。身体の動きに沿ってしなやかに動いて支点の役割を果たすときにかかる力は体重の9倍にも及ぶと言われています。

日常生活や仕事の中で重いものを持ったとき、筋疲労等でバランスを失い無理な力がかかったときなどに椎間板や椎間関節の組織に小さい傷がついて腰痛を感じます。しばらく安静にしていれば、一旦痛みも消えますが、傷痕の組織部分は傷つく前に比べて弱くなっていて、再び無理な力がかかると新らたな傷が増えていきます。こうした小さい傷が増えていくうちに、椎間板がつぶれたり、椎間板や椎間関節の周辺の骨棘と呼ばれる骨の出っ張りが形成されて、レントゲン写真やMRI の撮影で椎間板ヘルニアや変形性脊椎症と診断されることがあります。

腰痛を年齢的な問題として判断してしまう前に、痛みが生じる以前、あなたの日頃の生活や仕事上で腰にどのような負担(重量物の取り扱い、同一姿勢の継続、腰部に負担のかかる反復動作)がかかっていたかを検証してみましょう。

業務上の負担などに起因する腰痛と思われる場合は、労災制度を使った治療を検討することもできます。