労働基準法をはじめ、日本の労働関係法令は使用者が労働者の国籍などを理由に賃金、労働時間、その他の労働条件について差別的取り扱いをすることを禁じています。国籍のいかんを問わず、日本で働く人すべてが労働者としての基本的権利が守られているのです。それは労働者災害補償保険法上でも同様で、日本で働いていて仕事が原因して罹患したけがや病気に関する療養や休業について労災補償を受けることに国籍による区別はありません。

 厚生労働省によれば、2020年10月現在、日本で働く外国人労働者数は1,724,328人(2021年1月発表)。新型コロナ感染症拡大による来日制限がありながらも過去最多を更新しました。少子高齢化が進む日本ではたくさんの外国人労働者たちが日本の各種産業の貴重な働き手として労働の現場を支えてくれています。

 日本で働く中で未来への夢を描いて家庭を営み、子供を育てる生活者としての外国人労働者たちは私たちと共に社会をつくる仲間としてその尊厳が守られるべき存在です。

 東京労働安全衛生センターは、日常的に外国人労働者の個別労災・職業病に係る相談活動を行うとともに、長年、地域での協力関係にある下町ユニオン(労働組合)とカトリック東京国際センター(CTIC)と、相談者のニーズを多角的に検討・対応する外国人支援ネットワークKAMEIDOの活動も行っています。

March in March @ Ueno

 また、外国人労働相談に取り組む首都圏諸労働組合との「生活と権利のための外国人労働者実行委員会」に参加し、各団体が取り組む労働・労災相談事例を通して、外国人労働者がおかれた労働現場の実態の把握などの情報交換を定期的に行っています。同実行委員会では、毎年3月の外国人労働者の春闘イベント“マーチ・イン・マーチ”の企画、労働のみならず、結婚、妊娠、子育て、教育、医療、福祉、介護等など、日本で暮らす移住者が直面する様々な問題に取り組む支援団体のネットワーク「移住者と連帯する全国ネットワーク」と共催で、春・秋の二回、各関係省庁との交渉も取り組んでいます。