アスベスト関連疾患:アスベスト(石綿)を吸い込むことによって引き起こされる職業病です。主な疾患に、中皮腫(胸膜・腹膜など)、肺がん、石綿肺、びまん性胸膜肥厚などがあります。
アスベスト(石綿)は天然の鉱石で、クリソタイル(白石綿)、クロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)などの種類があります。軽い綿状の鉱物で、断熱性、耐火性、電気絶縁性などに優れるため、日本でも1970~90年代を中心に様々な用途に使用されました(2004年に使用禁止)。
アスベストは強い発がん性を持ち、人間が吸い込むと10~40年程度の潜伏期間を経て、中皮腫(悪性腫瘍)、肺がん、石綿肺などの健康障害を引き起こす危険があります。特に、仕事の中でアスベストを使用し、大量にばく露した建設業や製造業の労働者に多くの被害が出ています。また、アスベストを含む建材が使われた建物は1970年代から90年代にかけて多く建てられました。現在、その解体工事がピークになりつつあります。
過去にアスベストの粉じんにばく露する職場で働いていた方で、中皮腫(悪性腫瘍)、肺がん、石綿肺などの呼吸器疾患を発症された場合、アスベストが原因である労災の可能性が高いですので、まず労災保険への申請を考えてみて下さい。
≪どんな仕事で、アスベストが使われていたか≫
主に、①建築関連(大工、左官工、電気工、配管工、解体工など)の職種ほぼすべて、②アスベストを含む製品(建材、ブレーキライニングなど)の製造、③自動車、鉄道、船舶の製造や修理、④鉄工、ガラス製造、⑤アスベスト原料の運搬や荷揚げ(運輸業、港湾関係など)といった職種の場合、アスベストそのものやアスベストが含まれる建材・製品を直接加工したり、アスベストの粉じんが出る環境の中で働き、アスベストの粉じんにばく露している可能性があります。
さらに、アスベストを含む滑石(タルク)を使用していた看護師や美容師の方で発病したケースや、学校の体育館の天井に石綿が吹付けられていた場合もあったことや、一昔前の理科の授業などで石綿金網が使用されていたことなどから、教員の被害なども確認されています。
厚労省がHPで、『「石綿にさらされる作業に従事していたのでは?」と心配されている方へ』と題して、石綿にさらされるおそれがある作業例について写真入りで解説していますので、参考にしてください。
また、厚労省は毎年、アスベスト被害で労災認定が出た事業場を公開する取り組みをしています。全国労働安全衛生センター連絡会議のサイトで、この事業場を検索できようにしていますので、ぜひ参考にしてください。