精神障害(メンタル疾患):日本型の年功序列、終身雇用制が姿を消し、裁量労働制や非正規雇用が増大。「成果主義」「コスト削減」「効率重視」などの価値観が職場に広く浸透し働き方と職場の人間関係も大きく変容。長時間労働やハラスメント、いじめ、人間関係などを原因とするメンタル不調の訴えは毎年増え続けています。

心や体が外部から受ける刺激をストレス要因(ストレッサー)と言います。ストレス要因には『生理的ストレス(栄養不足、睡眠不足、疲労、ウイルスなど細菌感染など)』、『物理的・化学的ストレス(寒暑、騒音、明暗、湿度、薬物、有害物質、大気汚染など)』、『社会・心理的ストレス(精神的緊張、不安、恐怖、興奮、不満、怒り、失望など)』などがあり、とりわけ、私たちが通常「ストレス」と呼んでいる多くは『社会・心理的ストレス(精神的緊張、不安、恐怖、興奮、不満、怒り、失望など)』に分類され、メンタル不調発生と強い関わりがあるといわれています。

「ストレス」を受けたとき、人はイライラ感や不安、気持ちの落ち込み、やる気の低下などの気分面の変化を感じます。また、関節痛や頭痛、肩こり、腰痛、言い知れぬ倦怠感、目の疲れ、息切れ、胃痛、食欲低下、便秘・下痢、不眠などの身体面の症状が現れたり、アルコールやたばこなどの摂取量の増加、注意力の低下によるミスの多発など、行動面の変化が起こることもあります。これらは「ストレス」になんとか適応しようとする私たちの心身に起こる反応です。通常なら一定時間で鎮静する反応ですが、もし1週間、2週間と日を重ねても収まらない場合は要注意です。かかったストレスが過度であったために通常より鎮静しにくくなっている可能性もあります。必要に応じて精神科や心療内科など、専門医のアドバイスを受けることも考えましょう。

メンタル不調の回復のためには働く条件や環境の調整など、職場側の配慮・協力が不可欠です。しかし、働く人同士の連携や支え合いが阻害されていたり、信頼して相談できる窓口がない職場では労働者が不調を抱えたまま孤立し、適応障害やうつ病等のメンタル疾患を発症して休業に至ってしまう場合もあります。適切な相談対応、ストレス削減・トラブル解決など、職場で働く人たち全てを視野に入れた働きやすい環境整備を進めましょう。